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コラム

管理職になりたくない理由:そのメカニズムを検討する(セミナーレポート)

コラム

ビジネスリサーチラボは、20245月にセミナー「管理職になりたくない理由:そのメカニズムを検討する」を開催しました。

近年、管理職志向の低下が目立っています。「管理職になりたくない」と考える若手社員が増えているのです。

なぜ、このような考えにいたるのでしょうか。本セミナーでは、特に心理学の知見からその理由を検討します。

管理職になりたくない心理が分かれば、それを緩和させる方法も検討できます。リーダーシップ開発やキャリア支援に対する手がかりを提供できればと思います。

※本レポートはセミナーの内容を基に編集・再構成したものです。

管理職のイメージ

本題に入る前に、まず管理職のイメージについて考えてみましょう。管理職になることは出世であるという見方もできます。出世をキャリアの成功と考えている人にとって、管理職になりたくないという話を聞くと、出世を望まないなんてどういうことなのかと思うかもしれません。

例えば、新入社員は管理職について明確なイメージを持っていないかもしれません。そのような中で、身近な先輩や家族から管理職の大変さを聞いて、「管理職は大変なのだろう」というイメージを持っている人もいるでしょう。

若い世代については、リーダーシップが必要な役割を引き受けること自体に意欲が低く、組織の要求や期待に応えることに価値を見いだしていないと言われることもあります。これは、一つの会社で最初から最後まで働き続けるという従来の働き方が変化していることが背景にあるのかもしれません。

出世に対する考え方は人それぞれですが、その人の中でも変化が起こります。今は管理職になりたくないと思っている人でも、管理職について知識を得ることで前向きになることもあるでしょう。セミナーの内容がその手がかりになれば嬉しいです。

管理職になりたくないという表現の背景には、様々な理由が想像できます。管理職だからなのか、自分にとって今とは違う職につくことが気になるのか、といったことです。例えば、他者の責任を負わされるのが怖い、現場で働き続けたい、マネジメントへの自信がない、妬まれるのではないかと心配する、勤務条件が変わって困るなどの理由が考えられます。

管理職になりたくない理由

本日のテーマの中心である管理職になりたくない理由について、三つの観点から話を進めます。一つ目が管理職という立場、二つ目が職務内容、三つ目が勤務条件です。

一つ目の管理職という立場になることに伴う条件が、自分にとって損になると認識される可能性があります。その一つが責任の増加です。

例えば、他人の責任を負わされるのが怖いと感じたり、管理職としての役割を担う自信がないと考えたりすることがあります。部下のマネジメントや結果に対する責任を負うことに不安を感じ、管理職になりたくないという気持ちにつながることがあるのです。

もう一つは、周囲との関係性の変化です。目立つことを避けたい、注目される立場になりたくないという懸念があります。「出る杭は打たれる」という言葉で示されるように、集団主義的な文化の中で考えやすいものかもしれません。みんなで一緒に頑張り、横並びでいようとする中で、一人だけ前に出ることを避けようとする気持ちです。

研究では、高業績の従業員が同僚からの対人的攻撃の被害に遭いやすいことが示されており、これは集団主義の文化だけでなくアメリカのような個人主義の文化でも見られます。同僚の嫉妬によって攻撃されるリスクを避けたいと考える人もいるでしょう。

管理職になることは周りから出世や成功と見なされ、攻撃の対象になるかもしれないと思うと、避けようとする動機になり得ます。これは「成功回避」と呼ばれる研究テーマで、成功することで生じる否定的な結果を恐れ、成功そのものを回避しようとする動機が生まれるというものです。成功によって得られる良い結果よりも、それに伴う否定的な結果の方が大きいと感じると、成功を避けようとするのです。

また、人間関係の難しさやマネジメントの難しさ、ハラスメントなどの問題を目の当たりにすると、管理職に伴うストレスやプレッシャーを考えて、リスクを負ってまでなりたくないと思うのも仕方ありません。SNSなどを通じて様々な事件や問題を目にする中で、管理職の大変さを実感し、躊躇する人もいるでしょう。

二つ目の職務内容については、現在の仕事を続けたい気持ちが大きいことが考えられます。例えば、現場で働き続けたい、パフォーマーとして働きたいと考えている人もいるでしょう。管理職になると、マネジメントなどの新たな役割を担うことになりますが、そうではなく、今の仕事を続けたいと強く思う人もいます。

仕事の意味は研究のテーマにもなっており、仕事に意義や価値、目的を見出していることが重要だと言われています。仕事に意味を見いだし、ワークエンゲージメントが高く、職務満足も高い人は、現状の働き方を維持したいと考えるのは自然です。今の仕事に強い意義を感じている人にとって、管理職になることは魅力的ではないのです。

三つ目の勤務条件については、現実的な問題として、勤務条件が変わると困る場合があります。例えば、子育てや介護などで勤務時間に制約がある人にとって、管理職になって勤務条件が変わると働けなくなる可能性があります。

保育園や幼稚園のお迎えの時間、デイサービスの時間など、勤務時間が固定されている場合、管理職になることで勤務条件が変わることを懸念するのです。

管理職になると長時間勤務になるというイメージがあり、それがワークライフバランスを重視する人である場合に、自分の望みと合わなくなるのではないかと思い込んでいる可能性もあります。自分の求める働き方と管理職のイメージが合わないと感じると、管理職を避けようとします。

以上の理由を考えると、管理職になりたくないという本人の気持ちには合理性があると感じられます。責任の増加や周囲との関係性の変化への懸念、現在の仕事への満足感、勤務条件の変化への不安など、様々な要因が複雑に絡み合っています。

一方で、管理職になりたいという人もいます。そういった人に対する注意点や気をつけるべきことについて、次にお話ししたいと思います。

管理職になりたい理由

本日のテーマは管理職になりたくない理由ですが、ここでは逆に管理職になりたい理由について考えてみます。管理職になりたいと考えることには前向きな面もありますが、注意が必要な側面もあります。

まず、達成志向について見ていきましょう。キャリアアップの目標を持ち、その目標を達成しようとするとき、達成志向の高さと管理職になりたい傾向が重なる部分があります。キャリアの成功として管理職に就くことが考えられるのです。

ただ、達成志向が高いほど、自己利益のために行動することを示している研究もあります。自己利益追求には、高い地位に就きたい、人を動かしたい、高い給料が欲しいなどが含まれます。

高い地位に就きたいとか人を動かしたいことは、努力して一生懸命働くという働く意欲の高さや、高いパフォーマンスを発揮することにもつながります。組織にとっても良く機能する側面があるでしょう。

しかし、自己利益を追求するタイプの人がリーダーになると、職場に対して良くない影響を及ぼす可能性があります。例えば、部下への思いやりの欠如や、協力的ではなく競争的な風土の醸成につながるかもしれません。

リーダー自身にとって得になるような意思決定や関わり方をすることで、周りの人もそれに伴って考え方や態度が変わっていくことが考えられます。

ここで紹介したいのが、社会的価値志向性という概念です。大まかには他者に対する考え方のタイプと捉えていただければと思います。利他的なタイプは他者の利益を優先したいと考え、利己的なタイプは自分の利益を最優先にしたいと考えます。

この考え方の個人差が、実際の行動にも表れることが研究で示されています。例えば、利他的な考えを持つ人は、実際に他者の利益を優先する行動をとるのです。管理職になりたいと考える人の動機が、利己的な動機ではないかどうかは注意した方が良いでしょう。

次に、管理職に求められるリーダーシップについて考えてみましょう。リーダーシップの高さと関連するパーソナリティ特性や個人の要因については様々な研究が進められています。

外向性、勤勉性、開放性、知性、自信、社交性、課題関与性などが、リーダーシップの高さと関連することが示されています。外向性や社交性が高いことは、メンバー間での調整やマネジメントに適した特性だと納得がいく部分でしょう。

一方で、謙虚なリーダーにも注目が集まっています。サーバントリーダーシップは、部下の成長と幸福を優先し、謙虚で誠実な態度を示すものです。

サーバントリーダーシップの特徴としては、他者への共感と受容、謙虚さ、真正性、対人関係の配慮、スチュワードシップなどが挙げられます。部下のことをしっかり考え、組織の利益も考えて、部下の育成もしていき、自分は控えめに部下の貢献を見つめていくのです。

実は、管理職になりたくないと考えている人の中に、こうした特徴を備えている人がいるのではないかと想像されます。例えば、部下をマネジメントすることに自信を持っていない人や、自分よりも適した人がいるから遠慮しておくという形で管理職になりたくないと表現する方もいるかもしれません。

そういった人が気持ちを変えて管理職になったときに、サーバントリーダーシップのような特徴を発揮して、すばらしいマネジメントをすることもあり得ます。

キャリアの観点から考える

続いて、キャリアの観点から考えてみます。管理職になりたくない若手社員が、仮に管理職にならずに働き続けた場合、どのようなことが考えられるでしょうか。キャリアに関する研究知見を元に検討していきましょう。

まず、管理職にならないことで、今行っている仕事に意味を見出し、現状の働き方を続けられるかもしれません。自身の望む働き方を続けられるということです。しかし一方で、今の働き方を続けていって、いつまでもプロフェッショナルとして通用し続けることができるのでしょうか。

将来の姿を考えたとき、どのような立場で仕事をしていくのかというイメージを持てないことや、管理職と同程度の成果を求められて期待されるパフォーマンスに届かずにローパフォーマーとみなされてしまう懸念はないでしょうか。

また、昇進機会がなくなってしまい、仕事への不満を感じて、後になって後悔することはないでしょうか。こうしたことを考えてみるのも良いかもしれません。

研究知見によると、同じ仕事内容を続けていくことで、その後、仕事への意欲が低下するリスクもあります。現状がとても良い状況で働けているから、このまま続けていきたいという現状維持の意欲はあると思いますが、それがいつまでも続けられるかどうかは一度考えてみたいところです。

これに関連して、変化する仕事や労働条件に対処する準備として、キャリア適応性という概念が提唱されています。キャリア適応性とは、個人が職業的な発達課題、職業の転換、働く上での心理的な問題に対処する準備ができている程度を表します。適応の準備が整っている程度ということです。

従業員のキャリア適応性の高さが、主観的なキャリア成功とも関連し、また客観的なキャリア成功とも関連するということが言われています。キャリア適応性が高いと、実際にキャリアとしても成功する傾向があるということです。

組織のキャリア開発支援、上司からのサポート、同僚からの支援などがあると、キャリア適応性が高まると言われています。

キャリア適応性を高めることで、次の三つが向上すると実証されています。

  • ワークエンゲージメント:従業員が仕事に対して感じる熱意、没頭、活力など
  • 職務パフォーマンス:職務で求められる役割や責任を果たす程度
  • 組織コミットメント:所属する組織に対する愛着、一体感、忠誠心など

これらが向上することは、本人にとっても組織にとっても有益なことです。このように、キャリア適応性は個人にとっても組織にとっても有益なものとして、高めていくべきものだと考えられます。

前向きになってもらうために

管理職になりたくない理由を持つ若手社員に前向きになってもらうための対策について話していきます。これまで紹介してきた理由には、仕事の意味や職務内容、勤務条件の変化、責任の重さや自信のなさ、周囲との関係性や自分の成功への嫉妬を受けるのではないかという懸念、キャリアイメージのなさなどがありました。

まず、仕事の意味や職務内容に関しては、管理職の役割ややりがいを伝える機会を作ることが大切です。例えば、管理職にメンターになってもらうメンター制度の導入や、11のミーティングを実施することなどが考えられます。

若手社員に管理職の業務を体験してもらうことも有効でしょう。管理職を本当に体験するようなプログラムや、実際の業務に対するケーススタディなどが挙げられます。

管理職自身のキャリアの歩みやターニングポイントを若手社員に共有してもらうのもアイデアです。管理職のキャリアストーリー共有会などを開催し、管理職になった人自身の経験を伝えることで、現実味のある管理職像を伝えられるでしょう。リスクや懸念点を伝えることも大切ですが、前向きになるために知りえない情報や経験を管理職から伝えてもらうことが重要です。

次に、責任の重さや自信のなさに関しては、上司や先輩の管理職がサポートをしてくれる体制を整えることが有効です。責任に耐えられるかという不安があるときに、しっかりとサポートしてもらえる体制があると、心強いでしょう。

マネジメントやリーダーシップを高める学習機会を用意することも大切です。管理職に求められるスキルを学べる機会を提供することで、自信を高めることができます。

徐々に責任ある仕事を任せて成功体験を積み重ねられるようにすることも重要です。小さなところから積み重ねていくことで、自分はしっかりできるのだという気持ちで前を向いていけるでしょう。最初から大きな責任を持つ役割を与えるのではなく、段階的に進めていくことが大切だと思います。

周囲との関係性については、自分の出世や成功への嫉妬、攻撃対象にされるのではないかという懸念に対しては、部下とのコミュニケーションを練習する機会を作ることが有効でしょう。管理職になる前後で良好な関係性を維持している先輩管理職の事例を共有することも効果的です。実際に管理職になった後も他の人とうまく関係性を維持できている人の例を見ることで、自分もできそうだと実感できるでしょう。好事例を共有する会なども役立ちます。

さらに、管理職同士で情報交換や相互支援を行えるようにすることも有用です。嫉妬や攻撃を受けたときに、他の部署の人と情報交換したり、お互いに支援し合えたりすると心強いものです。

最後に、キャリアイメージのなさに関しては、社員が自己理解を深められる機会を提供しましょう。管理職に限らず、キャリアや人生観を含めた自己理解を深めていくことは重要です。

キャリアの選択肢を持つための情報を提供したり、実際に体験する機会を設けたりすることも有効です。どのようなキャリアの道筋があるのか、具体的な選択肢を知った上で選んでいけるようにサポートします。

そして従業員のキャリア支援は継続的に実施することをおすすめします。働いていく中で考え方も変わってくるので、定期的にキャリアの支援を行うことで、その人に合ったキャリアの方向性を見出せます。

Q&A

Q:管理職になりたくない理由として、タイパ・コスパが悪すぎることや、特に管理職クラスの年収が魅力的でないこと、管理職が激務で、休日も接待ゴルフがあるという意見がありました。どのようにお考えでしょうか。

そのような管理職イメージを持っている人にとっては、それを避けたいと感じてしまうのは自然なことだと思います。本人がまだ知らない管理職になったときのやりがいなどを伝えていくことで、前向きな気持ちを引き出せるのではないでしょうか。管理職の現実的な側面を示すことが大切です。

Q:成功回避動機に対して、失敗回避動機もあるかと思います。同じ人間の中で二つが同居した場合、どのような葛藤が生じますか。

成功回避動機と失敗回避動機は、確かに共存する可能性があります。ただし、本当に一つの対象に対して成功を回避する動機と失敗を回避する動機が生じているのかを考える必要があるでしょう。

成功したときに伴う様々な出来事や側面と、失敗したときの結果が重なっていれば、同じ方向性の意思決定や行動につながるでしょう。しかし、反対の動機が生じた場合には、他の決定要因や自分なりの理由づけをして、どちらかの行動を選択することになります。あるいは、考えすぎて動けなくなってしまうこともあるかもしれません。

そのような状況に陥っている人がいる場合は、本人だけで考えるのではなく、第三者に状況を整理してもらうことも一つの対策として考えられます。

Q:管理職イコール罰ゲームであるというメディアの宣伝やSNSでの言説が、若者を萎縮させているいう指摘もあります。この点についてはどう思いますか。

SNSやメディアから得られる情報の扱いには注意が必要だと感じています。自分にとって都合の良い情報を切り取ってしまうバイアスが影響する可能性もあります。管理職から直接事実に基づく情報を提供することで、不安を解消し、前向きな気持ちにつなげていくことができるのではないでしょうか。

Q:女性社員に管理職を目指してもらうには、管理職というポストの魅力を上げていく必要があると感じています。一方で、私自身その魅力を言語化できていない実情があります。若手や女性など、対象に応じてどのようなメリットが響きやすいかなどの知見があれば教えていただけますか。

若手や女性それぞれに対してアプローチすることも大切ですが、まずは個人がどのようなキャリアに関する考え方や希望を持っているかを汲み取ることが重要です。

その人が求めるキャリアや働き方に対して、管理職というポストがどのように応えられるかを提案できれば、管理職を目指すモチベーションにつながるでしょう。一人一人の価値観やニーズを理解し、それに合わせた管理職の魅力を伝えていくことが、管理職を目指してもらうための鍵になると考えます。

Q:部下がどの理由で管理職になりたくないと思っているのか見抜くコツはあるでしょうか。

部下の様子や働きぶりから、推測する手がかりはあるかもしれません。しかし、こちらの推測だけで判断し、行動するのは危険です。見抜こうとするよりも、実際に本人に確かめることが大切でしょう。

推測で行動するのではなく、直接対話をして、本人の考えや希望を聞き出すことが重要です。そうすることで、部下一人一人に合ったサポートや対応ができるようになるでしょう。

Q:管理職になりたくない理由は、キャリアプランや管理職の仕事内容、やりがいだけではなく、報酬も大きな要因だと思います。やはり大変な仕事でも、それに見合った報酬があれば、やる気にもなるのではないでしょうか。

ご指摘の通り、働く上で報酬は一つの理由になります。報酬の大きさと仕事のやりがいは、人によって重視する度合いが異なるものの、どちらも出世したくない、あるいは出世したいと考える理由に関わってくる要因だと思います。

管理職になりたくない理由を一概に断定するのではなく、個人の中にある様々な要因を多面的に見ていくことが大切だと考えます。報酬面だけでなく、仕事の内容やワークライフバランスなど、それぞれの価値観に応じて、管理職を目指すモチベーションは変わってきます。

Q:管理職になりたい理由があまり適切でない人でも、管理職の候補者として積極的に手を挙げ、他に候補者がいない限り、その人を推すしかない場合もあります。このタイプの人を良い管理職に育てるコツはありますか。

管理職になりたいという人が少ない中で、候補者の中から選ばざるを得ない状況はあり得ます。そのような場合、他の良い面を見つけていくことが大切だと思います。周囲から見て、本人が気づいていない長所や特徴を確認し、そこを伸ばしていくことができるでしょう。

また、その人がうまくやっていけるようにサポートできる体制を整えることも重要です。不得意な部分を研修などで補強し、強化していくことも考えられます。一人で抱え込まずに、周囲のサポートを得ながら、その人の良い面を活かし、成長を促していくことが、良い管理職に育てるコツではないかと思います。

Q:管理職になりたくない理由には様々なパターンがあると理解しました。実際に打ち手を行うにあたり、どんな理由でなりたくないのかを把握する必要があると思いますが、上司には本音を語ってくれないため、正しく把握できていない可能性があります。ニーズを正確に理解するには、どのように調査すれば良いか。

上司に対して本音を語りにくいということは想像に難くありません。ただ、上司に本音を話したくない理由も気になるところです。

キャリアに関する本音を上司に伝えることで、自分に不利益になる可能性を感じているのかもしれません。そのような場合、上司以外の話しやすい人から聞いてもらう機会を設けるのも一つの方法です。

Q:女性が管理職になりたくないと考える人が多いと感じています。女性特有の課題やそれに対する対策などはありますか。

まずは、女性であるかどうかにかかわらず、一人一人がどのような理由で管理職になりたくないと考えているのかを見ていきましょう。個人の状況に合わせてアプローチしていくことが基本になります。

女性管理職比率を上げるための施策としては、個人のニーズに寄り添いながら、組織全体としてダイバーシティを推進し、女性が活躍しやすい風土を作っていくことが重要だと考えます。性別にかかわらず、一人一人の能力を最大限に発揮できる環境を整備していくことが、結果的に女性管理職の増加にもつながるのではないでしょうか。


登壇者

藤井 貴之 株式会社ビジネスリサーチラボ チーフフェロー
関西福祉科学大学社会福祉学部卒業、大阪教育大学大学院教育学研究科修士課程修了、玉川大学大学院脳情報研究科博士後期課程修了。修士(教育学)、博士(学術)。社会性の発達・個人差に関心をもち、向社会的行動の心理・生理学的基盤に関して、発達心理学、社会心理学、生理・神経科学などを含む学際的な研究を実施。組織・人事の課題に対して学際的な視点によるアプローチを探求している。

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