2022年6月14日
改善行動の科学:自発的に会社を良くする社員を増やすには(セミナーレポート)
ビジネスリサーチラボは、2021年8月に「改善行動の科学:自発的に会社を良くする社員を増やすには」を開催しました。
組織の改善に取り組む社員を増やすためにはどうすれば良いのでしょうか。NTTテクノクロス株式会社より福島様・森本様をお招きし、同社における「First Penguin Lab」と呼ばれる取り組みを紹介していただきました。
また、同社の取り組みを支援してきたビジネスリサーチラボの伊達より、社員の自発的な改善を促す上でのポイントを解説しました。
本レポートはセミナーの内容を基に編集・再構成したものです。
登壇者
福島 隆寛 様
NTTテクノクロス株式会社 デジタルトランスフォーメーション事業部 第四ビジネスユニット。2018年度より社内の実践コミュニティFirst Penguin Labの運営に従事。プライベートでも多数のコミュニティに関わりながら、組織の壁を超えて様々な人々と協働。近年は“楽しさ”で人を繋ぎながら、“楽しさ”の力を使った社会課題解決手法の開発に取り組んでいる。
森本 龍太郎 様
NTTテクノクロス株式会社 フューチャーネットワーク事業部 第一ビジネスユニット。NTT内のIP電話網の仕様策定・開発に従事する傍ら、社内の実践コミュニティ活動であるFirst Penguin Labにおいて事務局&ラボリーダーとして従事。
伊達 洋駆
神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。2009年にLLPビジネスリサーチラボ、2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。研究知と実践知の両方を活用した「アカデミックリサーチ」をコンセプトに、組織サーベイや人事データ分析のサービスを提供している。近著に『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』(すばる舎)や『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』(共著;日本能率協会マネジメントセンター)など。
First Penguin Labの狙い
伊達:
本日のテーマは「改善行動の科学」です。改善行動は組織にとってなくてはならない行動の一つです。
経営学の古典の中で、組織が継続していくためには、従業員が(1)組織に参加してとどまること、(2)組織から与えられた役割を遂行すること、(3)役割を超えた行動を取ることが必要であると言われています。3点目の「役割を超えた行動」の中に改善行動が含まれます。
まずは、NTTテクノクロスの福島様・森本様より、同社の「First Penguin Lab」という改善行動の取り組みについてお話しいただきます。
福島:
First Penguin Labは、3社合併によるNTTテクノクロスの設立(NTTソフトウェア・NTTアイティ・NTTアドバンステクノロジの一部事業を合併)をきっかけに始まった実践コミュニティです。対象は一般社員です。メンバーは現在92名で、勤務時間の中で活動しています。メンバーが議論し、First Penguin Labが目指す姿と、それを目指すにあたっての行動指針を決めました。
First Penguin Labでは、「今日よりも明日、明日よりも明後日、会社が良くなっている」ことを目指しています。そのことを達成するために、(1)チャレンジを公開する、(2)それぞれが自分の意見を持つ、(3)自ら大胆なチャレンジをする、(4)成果ではなく結果にこだわる、という4点の行動指針を定めています。
4点目について、「成果」というのは「成功」であるのに対し、「結果」というのは成功も失敗も含まれます。失敗しても、次に成功するためにどうすればいいかを考えていこう、という意味です。
First Penguin Labの運営サイドの思いは、三つあります。一つ目が、新たな企業文化を醸成すること。社員が自主的に課題を見つけて挑戦することを当たり前とする企業文化にしていきたいと考えています。
二つ目は、活動を通じて社員が成長すること。通常業務では経験できない業務や立場・プロセスを経験することで、参加した社員が成長することを狙っています。特に若手のときは、仕事でリーダーを任される経験が少ないのですが、このような活動であればリーダーにもなれますし、一部ではなくてLabの中の全体を見ることもできます。
三つ目は、所属や立場の異なる社員が集まることによって、交流をきっかけに変革を誘発することもできるのではと考えています。
森本:
First Penguin Labも始まって4年ですね。私がこの活動に参加したきっかけですが、当時は人事異動があまり無く、同じ組織・同じプロジェクトメンバーで継続的に仕事をすることが多くありました。そうすると、同じ社内でも他の人が何をしているのか知らなかったり、スキルの幅出しが難しかったりで、キャリアにも閉塞感を感じていました。
プロジェクト業務だけではなく、タスクフォースやワーキンググループなど、1人で複数の活動を同時に担うことで、知識やスキルを身につけられますし、人との交流も増えるのではと考えていたところに、First Penguin Labの案内が来たので参加したという経緯です。
実際に参加してみると、自部署以外のいろんな人と交流できました。私は技術系なので、例えば営業系の人と交わることは少なかったのですが、First Penguin Labを通じて接点が増えました。本業とこの活動でバランスをとって時間のやりくりをしたり、新たなチームでチームビルディングしていったりという難しさはありますが、そのような経験ができたのが良かったです。
First Penguin Labの活動・運営体制
福島:
First Penguin Labは、集団・団体というより、課題を持っている人や何かに挑戦したい人が自由に参加できるプラットフォームに近いと言えます。First Penguin Labでは、2つの活動ができます。
1つは「ラボ活動」。成果を目指したボトムアップの実践活動です。もう1つは、ラボ活動になる前の段階の「コミュニティ活動」です。例えば、情報交換を含めた交流や連携、ラボ活動をするにあたってメンバーを募集する場になっています。
First Penguin Labの中には事務局を置いています。事務局がコミュニティの運営を行っています。
事務局は、例えば、全体プロセスの設計やイベントの開催、各ラボが困ったときの支援などを担っています。とはいえ、事務局だけでは分からないこともあります。そこで、経営企画部の中に相談ができる窓口を設けてもらっています。また、経営層にも支援・応援をしてもらっています。
First Penguin Labは2017年の夏ごろに開始しました。最初は定期的に人を募集して、集まった人たちでチームを組んで、テーマを決めて3カ月間活動し、最後に会社の幹部の前で発表してコメントをもらう形で行っていました。
2020年度からは定期募集をやめ、誰かが「これをやりたい」と言ったらそこに人が集まってくるという、「この指とまれ」方式に変更しました。いつでもラボを作れますし、いつでも人が入ってこられるようにしています。
主なイベントとして、毎年、「First Penguin Labアワード」というイベントをやっています。1年間の総決算として、会社幹部や他の社員に来てもらって、投票で一番良かったものに賞を授与する会です。他にも、伊達様など外部講師をお呼びして講演をいただいたり、ワークショップを開いたり、会社の中で展示をしたりといったことをやっています。
続いてFirst Penguin Labの成果ですが、業界紙に活動を取り上げていただいたり、徐々に社外からも評価をいただいたりしています。主管部署からも様々な協力依頼が増加し、多種多様な活動につながっています。
First Penguin Labの活動は、三つのカテゴリーに分けられます。一つ目は社内外連携・コミュニケーション関連、二つ目は社内制度関連、三つ目は社内システム・新ソリューション関連です。
森本:
社内外連携・コミュニケーション関連の「ライトニングトーク」とは、1人5分ぐらいで短くいろんなことを紹介し合うイベントです。弊社ではプレゼンの機会が少ないので、お互いにプレゼンし合うことによって、プレゼン技術を高めていこうという会です。
また、社内制度関連の在宅勤務について、弊社ではコロナ禍の何年も前から在宅勤務制度はありましたが、あまり使われていませんでした。より使いやすくするための方法について検討し、ノウハウを冊子にまとめて共有した結果、引き合いがありました。
活動を通じた効果
福島:
First Penguin Labの効果について、二つの観点からご説明します。一つ目は人的観点として、例えばリーダーシップ、積極性、助け合い精神、巻き込み力、多文化理解、イノベーションを起こそうとする意識の向上が見られました。
もう一つは組織的観点。これは組織間の人的交流の増加や人材発掘、スタッフ部門と社員の協働増加も見られました。また、経営層と社員との距離が近くなりました。本日のイベントにも幹部が参加しています。こういった場に誘えること自体、距離が近くなっていると感じます。
森本:
何年もFirst Penguin Labの活動を続けてきた中で、特に人の成長や、人材交流などに大きく効果があるのではと思っています。First Penguin Labの活動は、普段の業務とはまた別のスキルやノウハウが必要になります。
目的や課題のすり合わせから自分たちでやり、スキルやバックボーンが全然違う人たちも集まってくるので、その中で役割分担してまとめていくのが難しいところです。ただ、そういった中でリーダーをやると、鍛えられる部分があります。
活動における課題と対策
福島:
First Penguin Labの活動は、本業務との折り合いをつけて時間を捻出するタイムマネジメント能力、活動を止めないためにどういうチーム構成にするかを考える力、周囲を巻き込む力といったものが必要になります。また、個々人の主体性も必要不可欠です。
First Penguin Labの活動を通して、メンバー個々の能力が徐々に上がってきているのですが、効率的にこれらの能力を上げる方法があれば、ぜひ教えていただきたいです。
森本:
私自身、事業部の仕事でお客さまからの本業をやりながらFirst Penguin Labの活動を行っています。しかし、時間のやりくりには苦労しています。例えば5日分の仕事を4日で終わらせるように生産性を上げるなど頑張っているわけですが、会社としてもうまく複数の仕事を回せるような、兼業できる仕組みをフォローしてもらえるとありがたいと思っています。
ただ、逆にこういう制約がある状況だからこそ、自分自身の成長にはプラスになる部分もあるかもしれません。
福島:
最近出てきた三つの課題とその対策を紹介します。先ほど、2020年度から「この指とまれ」方式に変更したというお話をしましたが、同時にコロナ禍がやってきました。新しくチームを立ち上げても、チームビルディングが非常に難しい状況でした。コロナ禍で働き方も大きく変化しました。ひずみがFirst Penguin Labにも出てきて、様々な課題が出てきました。
一つ目が、「First Penguin Lab内での役割分担ができなくなった」という点です。「この指とまれ」方式で人が集まってきますが、何のために来たのか分からず、進めるに当たってどの人にどのように役割分担していいのか分かりません。それによりリーダーの負担が増加しました。
二つ目は、「チームビルディング」です。オンラインの中でチームビルディングするのは、リアルとやり方が違ったり、難しさがあったりして、そこが課題と感じています。
三つ目は、やはり「First Penguin Labの活動と本業務の両立は難しい」ということ。本業務で忙しいときにFirst Penguin Labの活動をやろうと思っても、同僚の負担になってしまうという心配をする人もいます。そうした心配をどう解消していくかが課題です。
対策として、一つ目の課題に対しては、First Penguin Labに参加する際、どういった目的で参加したのか、どういった興味があるのか、どういったことがやりたいのかということをまず見える化し、メンバーの中ですり合わせをして役割分担を行う、というように進めています。
二つ目のチームビルディングの課題に対しては、「活動ガイドラインの作成」を進めています。こういうことに困った場合、こうしたらうまくいく、あるいは、これは失敗するのでやらないほうがいい、といったことをまとめています。
三つ目の課題に対しては、認知度の向上、会社風土の変化によって解決できる問題もあると思っています。本日のような社外講演などでお話をさせていただいたり、社内広報室と連携して情報発信を行ったりしています。
もう一つは、メンバーの中から管理職に昇進した人もいるので、管理職目線から見て、この活動がどのように見えているかをヒアリングし、本業務とFirst Penguin Labの活動の両立について検討を進めている最中です。
自発的に会社を良くする社員を増やすコツ
最後に、自発的に会社を良くする社員を増やすコツとして、三つ挙げます。一つ目は、「まずは楽しさを体験してもらう」ことです。こういった活動は体験することで良さが伝わるため、ここは非常に重要です。
二つ目は「続ける」こと。続けることで活動が広がり、協力者が増えていきます。増えていくと、「First Penguin Labをやっていいなら、自分たちもこういう活動をしよう」と言って、First Penguin Lab以外でも、組織を改善する活動が増加しています。
三つ目は、「活動内容にフィードバックを行う機会を作る」ことです。自分たちでただやっているだけでは、モチベーションが続きません。例えば、経営層からコメントをもらうと、モチベーションが上がるので、活動の継続や楽しいという感情にもつながります。
森本:
まずは楽しさを体験してもらうというのは、まさにそうだと思います。私も、最初に「会社を変える活動に興味がある人」というアンケートにうっかり回答したら、いつの間にか運営にも携わっていたという立場です。最初はあまり大変そうな印象を与えず、軽いノリで楽しそうな雰囲気を出して参加者を募るのが良いでしょう。
福島:
本日、このような形で発表させていただきましたが、First Penguin Labにご興味のある方や、もっと聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡いただき、ご意見交換させていただければと思います。
改善行動を促すには何が必要か
伊達:
私からは、お二人のお話を受けて、改善行動を促すための五つのポイントをお話しいたします。
一つ目は「運営事務局の存在」です。First Penguin Labの取り組みの中には、運営事務局が設置されていましたよね。事務局が適度な支援を行っている点が重要です。「適度な支援」を行うと、そこで活動を行うメンバーは改善行動が取りやすくなります。
支援の例としては、アワードを開催したり、ワークショップやセミナーを実施したり、また様々な調整を行っていたりというお話がありました。支援を行う組織が存在すると、メンバーは安心して活動を進めることができます。
学術研究においても、組織からの支援は、少なすぎても多すぎても改善行動はあまり高まらないことが分かっています。支援が全然得られないと改善をやろうと思えませんが、支援が得られすぎると、「おんぶにだっこ」状態になり、今度は改善行動を起こそうという気持ちが減ってしまうのです。「ほどほどの関わりをいかに維持していくのか」が大事です。
皆さんの会社で改善行動を促す上で、それを推進する事務局があるかを考えてみると良いでしょう。事務局がある場合、どの程度の支援をしているか、支援が足りていない状態になっていないか、あるいはやりすぎていないかを考えてみましょう。
二つ目は、改善行動を行うことによる「改善したという成果」と「活動を行う中での成長」が両方得られる点です。改善の結果が得られると同時に、そのプロセスで様々な能力も上がる。成果と成長を共に得ることができるようになっていると、改善行動は促せます。
例えば、アワードの機会などを通じて、自分がどのような成果を出したのか、成長を得たのかを発表する機会を作れば、自分自身の成果・成長を振り返ることができます。First Penguin Labでは、成果と成長の可視化が上手くなされています。
学術研究の中で、多忙な人ほど「改善行動を行うことで自分が何を得られるか」を重視することがわかっています。忙しい人は、得られるものがあれば積極的に活動しますが、そうでなければ活動が停滞する可能性があるのです。「成果と成長」という2つを可視化することで、継続的な関与を促せます。
皆さんの会社の中では、改善行動をとる人は、そのことによって何を得られるでしょうか。そして、それを実感できる機会を設定できているでしょうか。
三つ目のポイントは「経営層が関わっている」という点です。First Penguin Labでは、アワードなど、経営層が改善行動に対してフィードバックする機会が設けられています。私も最初は驚いたのですが、午後いっぱい時間を確保して、フィードバックをしています。そこでのフィードバックの内容は決してダメ出しではなく、ポジティブなメッセージなのです。改善行動を進めることはいいことであると勇気づけられますよね。
経営層の役割は、改善行動を促す上で重要であると言われています。経営層が、様々な意見を歓迎する姿勢を持つことが求められます。なぜなら、改善行動はそれを行う人にとってはリスクを伴う行動であり、「こういう提案をしたらまずいかな」などと心配してしまう可能性もあるからです。経営層が改善行動を歓迎する姿勢を出せば、リスクの認識を下げることができ、改善行動を行いやすくなります。
皆さんの会社の経営層は、改善行動をとる人に対して、どのような姿勢を見せているでしょうか。経営層による関与の仕方について振り返ってみると、改善行動が進むヒントが得られるかもしれません。
四つ目は、改善行動を進める上で、First Penguin Labの事務局が、「改善しないとまずい」という「恐怖を喚起するコミュニケーション」をほとんどやっていない点です。むしろ楽しさで動機づけています。First Penguin Labの雰囲気がよく、楽しいからこそ社員が集まってきます。そういう仲間同士だと、年齢や役職に関係なく、お互いに意見を気軽に言い合うことができます。
「お互いに意見を言い合うことができる」という側面は、改善行動を促す上で重要です。お互いに本音を言い合えることを「心理的安全性」と呼びますが、心理的安全性が高いと、意見を伝えることによるネガティブな影響を心配せずに、改善行動を取ることができるという研究があります。
皆さんの会社では、改善行動を促す際、「改善行動をしないとまずい」という恐怖喚起的なコミュニケーションを取っていないでしょうか。改善行動に取り組むことが楽しい。そのようなメッセージを伝えられるとベターです。
最後の5点目は、チームで組んで改善行動をとる場合、「様々な部署のメンバーでチームが構成されている」点が、改善行動を促していくために大事です。いろんな知識や経験、スキルを持つ人と一緒に改善行動することができれば、思いもよらないアイデアに巡り合えたり、アイデアの実現可能性が高まったりします。
実際、チームで改善行動を行う場合、メンバーが様々な専門性を持っているほうが、チームの改善行動がうまくいくという研究結果があります。「様々なメンバーがいるほうが良いと信じている気持ち」がないと、うまくいかないという研究もあります。
皆さんの会社で改善行動をとる際、多様性のあるメンバーで構成されているチームになっているでしょうか。
Q&A
Q1.業務時間内に改善活動を行うために、どのように時間を作っているのでしょうか。
森本:
まずは「本業をどれだけ効率化するか」という点が大事です。また、チームメンバーとミーティングするタイミングを合わせる際には、スケジューラーやツールなどを使っています。ミーティングで話した内容を残しておき、ミーティングに参加できなかった人も後で追いつける環境を作ることで、継続的に活動できています。
Q2.活動を社内で、かつ業務時間の範囲内で行う理由は何でしょうか。経営側から見て、経営戦略において活動がどのように位置づけられているのでしょうか。
福島:
なぜ社内で、しかも業務時間の中でやっているのかということですが、例えば、子育て中の社員や、あまり残業できない社員も、First Penguin Labに参加ができるのが良い点だと考えています。
経営戦略については、お客様と触れ合っている現場から、ボトムアップで改善行動を進めると、より良いサービスやソリューションを生み出せる可能性があり、その実験場としてFirst Penguin Labが機能しています。
Q3.改善活動に参加することで、人事評価にプラス査定になるなどの動機づけはありますか。また、こういう動機づけは必要と思われますか?
福島:
人事評価との紐づけは難しいと思っています。適切な評価もしにくいのではないでしょうか。代わりにFirst Penguin Labアワードなどを設けて、そこで幹部や他の社員に投票してもらって、称賛や承認を得る機会を作っています。
森本:
私も、上司がFirst Penguin Labでの活動を評価するのは、なかなか難しいところがあると思います。ただ、しっかり成果が出て、会社の制度やシステムの改善につながったもの、上司も含めて皆が成果だと認識できるようになったものであれば、それらは評価の対象にしてもいいかもしれません。
伊達:
「評価」ではなく「成長」にいかに目を向けていけるかが、改善行動を行うコミュニティの中では重要ではないかと感じました。
というのも、改善行動のモチベーションが、「評価されたいからやる」となるとなかなか続きにくいからです。「ここにいると楽しい」や「学びがある」といったモチベーションを喚起していく必要がありますね。
(了)